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24時間、週に7日。妻であり、母であるわたしの雑感。

産休育休取得率が非常に高いホワイト企業女性社員だけどはっきり言うと、産休育休は既得権益。

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はてな匿名ダイアリーで、
「産休育休取得率100%のホワイト企業女子社員だけどはっきり言うと、産休育休は既得権。」
と、バッサリ斬られてしまった。

わたしが、だけじゃなくて、世の中の産休育休取得中のお母さん、ならびに時短で働くお母さんが、だけども。

https://anond.hatelabo.jp/20171026133336

この文章を1度目に読んだ時は、怒りに震えた。

若造が!女性を取り巻く妊娠・出産・育児と仕事の両立をする上での苦労知らないで、何が「既得の甘い汁を吸いたいだけ。」じゃー!こっちはこっちで、色々苦労しとんじゃ!

…ひと通り憤った後、ふと、気づく。はたしてこれを書いた人は「若造」なんだろうか?と。

「女子」社員と名乗り(個人的には妙齢の女性が自らを「女子」と名乗ることにものすごく抵抗がある…ほんとどうでもいいことだけど)独身子なしの口ぶりだったので、当然のように自分より年下=若いのだろうと厚かましくも思っていたけれど、同年代、もしくは年上の場合もあるよね。ミスリーディングだわ、と思って、何度も読み返した。追記もあったので、何度も何度も読み返した。


(以下、原文まま)

産休育休取得率100%のホワイト企業女子社員だけどはっきり言うと、産休育休は既得権。

働きたくないから専業主婦希望する女と同じように、「働きたくないから子供産んで育休とりた〜い」という空気を纏う女子社員は実際かなり多い。

夫も育休とっていようが毎日定時だろうが、家庭が回らない訳でもないのに既得権だからあるだけ使う。ただ既得の甘い汁を吸いたいだけ。

しわ寄せはこっちに来る。これ全部管理側の問題ってするのはどこかおかしい。

新しい人を雇うにも席がない。
管理側は、イキイキママを雇用し続けるならもっと働かせろ。そうじゃないなら解雇しろ。資生堂見習って。現場を第一に考えてほしい。

 

この文章を書いた方に、わたしが伝えたいことは3つ。
うん。あなたの言うように「働きたくないから子供産んで育休とりた〜い」という空気を纏う女子社員、いないわけではないと思う。

仕事が思うように上手くいかない時、わたしこのままでいいのかな?と悩んだ時、周囲からの「彼氏は?結婚は?子どもは?」という圧力に自分の中の何かがポッキリ折れそうになった時。そんなことが頭をよぎらなかったこともない。

似たようなこと、誰にでもあるんじゃないだろうか?

「昨日飲みすぎたし、今日は午前休とりたいな…」「体調思わしくないし、会社休もうかな」
それと大差ないと思う。

人間だもの、その日の気分・体調・さまざまな要因によって仕事のモチベーションは上がり下がりするのは当たり前。そのアップダウンを周りに悟られないようにしていく努力と、仕事の成果に影響をもたらさないようにする事は怠らないようにした方がいいと思うけど。


2つ目。産休育休は「既得権益」(既得権と書かれているけど、おそらく既得権益のことだよね?)で間違いない。

既得権益(きとくけんえき)とは、ある社会的集団が歴史的経緯により維持している権益(権利とそれに付随する利益)のこと。ウィキペディアより。


過去の先輩達が望んで望んでようやく手に入れた権利なんだ。労働者誰にでも公平にあたえられているもの。それを行使するかどうかは個人の判断に委ねられている、と思う。

「わたしはこの先も子どもを持たないから、この権利は必要ない」のなら、もちろんそれはそれで良いだろう。そして、子どもを生み育てたいと思う人も、男女問わず行使できる。他の誰から何かを言われる筋合いもない。


3つ目。子どもを生み育てることは、決して楽ではないということは、子持ちの立場から大きな声で言いたい。

お金の使い方も、時間の使い方も、人生設計全てを大きく見直す必要に迫られる。仕事をしたくないから、休みたいから、だけの覚悟ではとてもじゃないけどやっていけない。

第一、仕事には対価と休日がある。(ホワイト企業勤務ならば、おそらくそれ相応の安定した月給、賞与、休日があるでしょう)

育児は…その全てが無い。24時間365日、親でいることは休めない。休んだりしたら、それこそ「育児放棄!母親の資格無し!」と後ろ指さされること必至。

そんじょそこらのブラック企業も真っ青のブラックっぷり。しかも仕えるのは、理不尽極まりない子どもなのだから。

…ここまで書いて、きっとこれに対する反論は「それもわかった上で子ども作ったんだろ!自業自得!自己責任!」だろうな、とふと思ったけど。

でもね、本当に経験してみないとわからないこと沢山ある。覚悟を決めてたって想像の斜め上だったことだって、たくさんある。

これは「仕事と育児、どちらが大変か」という話ではなくて、育児なめて育休欲しさだけで子ども産むと、後々バチが当たったわー!って思うくらいの後悔が待ってるよ、という話です。


この文章を書いた人は、本当に仕事が忙しくて、大変で、業務は多いのに人は足りなくて、だけど育休中や時短社員は沢山いて、休日出勤も多くて自分はプライベートの時間を思うように取れなくて、辛くてイライラしてるんだろうなぁ、と思う。


当然会社側の責任もあるし、でも人件費など諸々のコストを考えると育休・時短勤務社員の穴をどうやって埋めていくのかは悩ましい問題でもあると思う。

この問題に風穴をあけるヒントは、この人が書いたように、一昨年騒がれた「資生堂ショック」にあるんじゃ無いだろうか。


管理側は、イキイキママを雇用し続けるならもっと働かせろ。そうじゃないなら解雇しろ。資生堂見習って。


願わくば、この人が「資生堂ショック」の本質を見誤ってないことを祈ります。

資生堂ショック」は、子育て中の時短社員も「土日祝日、平日の夕方以降のシフトに入ってくれ、入らなければ解雇だぞ!」という踏み絵を設定したわけでなく、BA一人一人ときっちり面談をして、個人としての働き方とキャリアパスを描いたのだという。

各家庭によってリソースは違うから。夫の育児参画度、近所に育児を助けてもらえる人がいるか、何時まで延長保育を利用できるか、エトセトラエトセトラ…。

そして個人によって描くキャリアパスも異なるので、そこをきちんと汲み取って業務を割り振っていきますよ、というのが「資生堂ショック」。リソースを最大限に活用して、昇進を目指したい・もっと働きたいのなら、道筋や席を用意しますよということ。

だから、「もっと働かせろ」は正論で「そうじゃないなら解雇しろ」は暴論だと思う。


わたしが育休に入る前の職場では、40人ほどの部署の中に時短社員が4〜5人もいて、仕事に対するモチベーションも成果も様々だった。

その辺のフルタイムの男性なんかよりもよっぽど能率がよく仕事が出来て、決して「楽な仕事しかしない」わけじゃない人もいれば、まさにこの人がイライラをぶつけたかったであろう人もいた。

個人によって全く違うから、こんな風に産休育休取得中・時短社員を一括りにして批判するのは、やっぱり何だか違和感を感じる。


そして…わたしも性格悪いので、ついつい書いてしまうんだが…

この先、この文章を書いた人も子どもを持つ事があるかもしれない。その時にこういった批判がブーメランで返ってきて、その時に自分が極論過ぎたことを、自分自身で首を絞めるようなことを書いてしまったと、気づいてほしい。

子どもをもつだけじゃないな。これからの世の中は介護でだって休職、時短勤務を余儀なくされることも増えてくるんだよ。自分が病気などをして、長期休業や時短勤務になること可能性もある。

だからこそ、もっと人に対して寛容にいこうよ。イライラするだろこともあるけどさ。

あなたが今現在被っているという「育休中の同僚の余計な仕事」、巡り巡っていつかはあなたが誰かに助けてもらうことになるかもしれないんだから。